第四章③:三人のチームワークで突破!

1. 踏破作戦の再考

「何度登っても終わらない階段」という第四の不思議に挑むソレナトリオ(レオ、ナオキ、ソウタ)は、踊り場をマーキングして同じ場所に閉じ込められているわけではないと判明させたものの、そっくりな踊り場が連続する怪現象に苦戦を強いられていた。
「そろそろ何か決定打を打ちたいところだが……」
レオが苛立ちまじりに呟くと、ナオキはマークを記録したメモを眺めながら、頭を振る。「正攻法で数えるだけじゃ、いつ抜けられるか見当もつかない」
ソウタは足元を気にしながら「段数が同じだし、全部ほぼ同じ作りなんだもん……」と半泣きになっている。だが、三人とも逃げ出す気はなかった。仲間と共に“終わらない階段”の真相を掴んで先へ進まなければ、元の世界に帰れないからだ。


2. レオとナオキの掛け合い

階段の途中で腰を下ろし、一度深呼吸をして落ち着こうとする。ナオキは理詰めで考え続けているものの、鏡の世界の空間ループは簡単に解けない。「もしかしたら、何か決定的なアクションが必要なのかも……」と口にすると、レオは半笑いで肩をすくめる。
「決定的なアクションって、例えばどうするんだ? 踊り場ぶち壊すとか?」
「まさか。それこそ鏡の世界で何が起きるか分からないし、危険すぎる」
レオの冗談に近い提案をいなしながら、ナオキも真剣に考える。どこかに“出口”があるのか、あるいは何かしらの鍵となる要素が眠っているのか。前の不思議でも、単なる物理的構造にとどまらず、“想い”や“意志”が作用しているケースが多かった。


3. ソウタが気づいた“視点”の変化

「ねえ……踊り場の壁、上の方を見たことないよね?」
ソウタがふと声を上げ、懐中電灯を高く掲げてみる。天井近くには影が伸び、何かの配管や梁が交差しているのが見えるが、埃まみれで細部はわからない。しかし、その隙間に白い何かが差し込まれているように感じられた。
「そこ、何かある……?」
レオとナオキはすぐに目を凝らす。だが、手が届く高さではない。踊り場の端にある古い机や椅子を使って足場を作ることにし、レオが上に乗って手を伸ばす。
「……これ、紙の束?」
埃まみれの紙束を引き抜くと、どうやら落書きやメモが書かれたページの寄せ集めで、鏡文字が隙間なく並んでいるらしい。


4. “階段の抜け方”のヒント

ナオキが懐中電灯を当てつつ解読を試みると、そこには階段に関する落書きや試行錯誤の記録のようなものが記されていた。いわく、「何度登っても踊り場に戻る」「階段の段差を変化させるには……」「踊り場で“特定の行動”をすると、次の階段へ切り替わる」など、興味深いフレーズが並んでいる。
「“特定の行動”ってなんだろう……?」
レオが肩をすくめると、ソウタはまだ文面を追いきれていないナオキを見守る。ナオキは困惑しながらも、一部だけ判読できた文章を口にした。
「……“三人が心を合わせると、道は開く” みたいな感じの文がある」
これはまさに、ソレナトリオに向けて書かれたのではと思うほど、ピンとくる内容だった。過去の不思議でも“想い”や“チームワーク”が解決の鍵になってきた事実を思い出し、三人は顔を見合わせる。


5. 三人で“それな!”

「ってことは、いつもの合言葉で……?」
ソウタが声を震わせながら言う。レオはすぐに笑い、「やっぱり、俺たちの合言葉だろ!」と拳を突き出す。ナオキもそっと眼鏡を押し上げ、「馬鹿らしいって思うけど、ここでは有効かもしれない」と微笑んだ。
三人は踊り場の中心に立ち、互いの顔を見合わせる。これまで不思議を突破してきたときも、最後はいつも「それな!」で心を一つにしてきた──まさにチームワークの証だ。
「せーの……」「それな!」
静かな踊り場に、三人の声が重なる。まるで空気が波打つような感触がし、一瞬周囲の光が揺らいだように見えた。


6. 新たな空間への移行

再び階段を上り始めると、不思議なことに次の踊り場の景色が微妙に変わっている。床の落書きや埃の量が変わっているばかりか、壁には先ほどまで見当たらなかった小さな扉のようなものが嵌め込まれていた。
「扉……こんなのあったか……?」
レオが驚き、ナオキは懐中電灯を当てながら扉に近づく。ソウタは「これ、出口なのかな……?」と恐る恐る聞くが、ナオキは確信は持てない。「でも、何らかの変化が起きたのは確かだ」と答える。
こうして、**“終わらない階段”を打ち破る糸口をつかんだ三人は、チームワークで得た新たな景色に胸を弾ませる。ここまでの試練を乗り越えたからこそ、合言葉の力と三人の絆が“道を開く”のだと感じられる。
こうして
第四章ー③:三人のチームワークで突破!**が幕を下ろす。鏡の世界の階段ループを越え、三人は次の踊り場の先にある扉へと歩みを進めることになる。果たして、そこに何が待ち受けているのか──冒険は続いていく。

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