서장②:구교사의 7대 불가사의

1. 放課後の教室

放課後の教室には、まだ数人の生徒が残っていた。クラスメイト同士で雑談を楽しむ声や、椅子を引きずる音がかすかに響いている。ソレナトリオの三人、レオ・ナオキ・ソウタは、それぞれの机に腰かけながら、ある噂話で頭がいっぱいだった。

「ねえ、本当に行くの? 旧校舎にさ」

ソウタが不安そうに尋ねると、レオは満面の笑みを浮かべてうなずいた。

「当たり前だろ! 七不思議って響きだけでもワクワクするじゃん」

「だが、先生や生徒会長に見つかったらどうするんだ……。あそこ、立ち入り禁止だろ」

ナオキが理性的な口調で言う。彼はレオとは対照的に、何事も理詰めで考えるタイプだ。レオはその問いを聞き流すように机から立ち上がった。

「細かいこと言うなって。そういうのは行ってから考えるもんだ」

「お前のそういう性格が、一番危なっかしいんだよ」

ナオキはメガネを押し上げながら、呆れたようにため息をつく。いつもの光景だ。結局、ナオキもソウタもレオの勢いに引きずられる形で、学校の裏にある旧校舎へ足を運ぶことになる。


2. 旧校舎への道

昼休みにチラリと聞いた上級生の噂話によれば、旧校舎にはいくつもの不気味なうわさがあった。夜の音楽室で勝手に鳴るピアノ、理科室をさまよう人体模型……他にも、図書室の本が消えるとか、終わらない階段があるとか。どれもこれも、子ども心をくすぐるような話ばかり。レオはこうした“怪談めいた話”に目がない。

「実際に確かめないと、事実かどうかもわかんねえだろ?」

とにかくレオの心は駆り立てられていた。彼は昔から、何か新しいものや奇妙なものを見ると、すぐ飛び込んでしまう。逆にナオキは「どうせどれも錯覚か、誰かのイタズラだろ」と初めから冷めた態度だ。ソウタは怖がりではあるものの、二人と一緒なら――と腹をくくっている。

下校時間を迎え、三人は急ぎ足で校庭の端へと向かった。夕方の光が、校舎の壁を淡いオレンジ色に染めている。普段は立ち入らないはずの裏手を回ると、そこには朽ちた看板と荒れたフェンスに囲まれた、古い建物が見えた。これが旧校舎だ。

「うわ……思ったよりボロいんだな」

レオがため息交じりに感想を漏らす。窓ガラスの多くは割れ、外壁は色あせ、ところどころ板が外れていた。校舎というより、廃墟に近い。ナオキはその姿を見て、むしろ少しホッとしたような表情を見せる。

「この状態なら、夜に人体模型が動くも何も、誰も掃除してないし、どこかがきしむ音が変に響いてもおかしくない。自然現象の類だろう」

「でもでも、ここで夜に音楽室に行くなんて……怖いね」

ソウタが言うと、レオが肩をすくめた。

「大丈夫だって。今はまだ明るいし、そもそも夜にならなきゃピアノも鳴らないだろ。とりあえず、中に入って下見だけでもしてみようぜ」


3. 窓ガラスと罰掃除

「こっちの窓、割れてる……。わりと大きいね、ここからなら中に入れそう」

「うわ、何か雰囲気あるな……」

ソウタのつぶやきに、レオが「それがいいんじゃん!」と笑う。ナオキは半信半疑だが、ここまで来た手前、すぐには引き返せない気分になっていた。

慎重に窓から足を踏み入れると、足元の床がギシリと鳴った。埃を舞い上げながら、三人は薄暗い廊下に降り立つ。廊下の天井照明はとっくに外されており、壁の塗装はところどころ剥がれている。長い年月、放置されていたのだろう。

「うわぁ……本当にホラー映画に出てきそうな感じ」

ソウタが苦笑いを浮かべながら辺りを見回す。レオはむしろ楽しそうだ。ナオキは懐中電灯を取り出して周囲を照らし、板が抜け落ちていないか確認している。

「ここ、失敗して床抜けたら大ケガもんだぞ。気をつけろよ」

「はいはい、了解!」

レオは軽い返事をするものの、内心は興奮でドキドキしていた。まさに“少年の冒険”そのものだ。廊下の突き当たりには階段があり、その踊り場の壁には落書きが残されている。クラスメイトの名前や、好きなアイドルの文字、イタズラ書きがごちゃまぜだが、その中で新しい文字が一つ目に留まった。

「……『鏡ニ注意』?」

ナオキが懐中電灯の光をあてながら眉をひそめる。

「どういうことだろう? ここに鏡があるのか?」

レオが周囲を見回すが、壁には何も掛かっていない。ソウタは少し不安そうにその文字を見つめていた。

「鏡って……七不思議にも書いてあったよね。踊り場の鏡に映るはずのないものが映る、みたいな話」

「……もしかして、ここ?」

「でも、鏡が見当たらないな。どこかに移動されたのかも」

三人は首をかしげながらも階段を上がっていく。すると、レオが肘を振り上げた拍子に、踊り場の窓ガラスへ思いきりぶつかってしまった。「いって……!」とレオが叫ぶと、ガラスに小さなヒビが入り、三人は息をのむ。

結局、慌てて外に出てみると、夕焼けが赤紫色に変わりかけていた。翌朝には、すぐに担任の村田先生にバレてしまい、旧校舎を掃除するよう言い渡される。気が重いはずの“罰”だが、三人にとってはむしろ「堂々と旧校舎に入れるチャンス」でもあった。


4. 再び旧校舎へ

放課後、三人は先生に付き添われながら旧校舎の掃除をすることになった。錆びついた鍵で正面入口を開くと、廊下には相変わらず枯れ葉や埃が溜まっている。先生は一通りの注意を促し、「余計な場所には行かないこと」と釘を刺してから、三人にモップと雑巾を手渡した。

とはいえ、三人は明らかに“余計な場所”に興味津々だ。七不思議の正体を探るなら、音楽室や理科室、踊り場の鏡だって見ておきたい。先生が道具を取りに行くと聞いたとき、三人は目を見合わせて微笑む。まさに絶好の機会だった。

階段を上がって二階へ行くと、そこには薄暗い廊下と「音楽室」とかすかに読めるプレートの扉がある。扉を押し開けてみると、埃っぽい空気が鼻を突き、奥に鎮座するアップライトピアノが目に入った。

「ここが勝手に鳴るって、どんな仕組みなんだろうな……」

ナオキが鍵盤を軽く押すと、不調和な音が鳴った。ソウタは身をすくめ、レオは目を輝かせている。このまま夜まで待てば、本当に噂の現象が起きるのか。それともただのデマか。想像は膨らむばかりだが、下の階から先生の呼ぶ声が聞こえ、三人は慌てて戻らざるを得なかった。


5. 夜の音楽室への思い

結局その日は、音楽室を少し掃除しただけで終わってしまう。ヒビの入った窓ガラス周辺も拭いたが、特筆すべき発見はない。先生に付き添われている限り、大胆に動けないのだ。

下校時刻を迎え、校庭を歩く三人。レオはしきりに「夜なら、もっと面白いことが起きるに違いない」と興奮を隠せない。ナオキは「警備員だっているし、見つかったらアウトだ」と冷ややかだが、それでも気持ちのどこかで可能性を捨てきれない。ソウタは「うーん、やっぱり怖いよ……」と口を尖らせつつも、二人と一緒なら不思議と踏み出せそうな気持ちもある。

"그거야!"

自然と三人の声が重なり、微笑み合う。七不思議の解明はまだ遠いが、その入り口に足をかけた感覚。夜の音楽室が本当に怪しく響くのか、鏡には何が映るのか、理科室や図書室にはどんな謎が待ち受けているのか。怖くても、気になる。危険でも、知りたい。冒険心が大きく膨らむなか、ソレナトリオの物語は、さらに深い領域へと動き出そうとしていた。

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