제2화] 스텝 바이 스테이지! ~내가 댄스 서클의 리더가 될 줄이야! ~~!

第2話「はじめてのチーム会議」

朝のホームルームが早く終わった火曜日。

私は心を落ち着けようと、キャンパス内の小さなカフェテリアでコーヒーを一杯買った。これから、おそらく生まれて初めて体験する“リーダーとしての本格ミーティング”が始まる。前回のざっくりした集まりでは、各メンバーの意見がただ飛び交いまくって終了だった。今日こそは、ちゃんと「決まる」会議にしたい。

 しかし、期待と不安を抱えながら一口コーヒーをすすった瞬間――「熱っ!」と思わず声を上げてしまうほどの熱さにむせた。ついでに机に置いていた資料をコーヒーのしぶきが染み込ませ、あれよあれよという間に紙が茶色く変色していく。

「うわぁぁ、最悪……!」

 私は慌ててティッシュで拭き取りながら、どうしようもない気分になった。

 まるで前途を暗示するようなトラブルだ。コーヒーのシミが残ったメモを眺めつつ、「でも、ここでめげちゃダメだよね……」と自分に言い聞かせる。私は大きく深呼吸をすると、決意を新たに学生会館へと足を進めた。

集合、そして奇妙な静寂

学生会館のサークル室。ドアを開けると、そこには見慣れたメンバーがずらり。

 大谷 翔、佐藤 真琴、宮田 シズク、鈴木 真由――いずれも私と同じ二年生で、今回の文化祭ステージを一緒に作り上げる“主要メンバー”たちだ。そのほか、先輩の青山 リカも後方でノートパソコンを開いてこちらを見守っている。

「お、来たね小春。待ってたよ!」

 一番に声をかけてきたのは翔だった。相変わらず屈託のない笑顔で、イスの背もたれにだらりともたれかかっている。

「よし、じゃあミーティング始めましょうか」

 私は自分がリーダーであることを思い出し、気を引き締める。前回は意見が飛び交いまくって収拾がつかなかったから、今日はまずアジェンダをはっきりさせようと思い、カバンからメモ用紙とペンを取り出した。

 ――だが、その瞬間。なぜか室内が不自然な静寂に包まれる。

 前回あれほど大騒ぎだったのに、今日は全員が黙りこくって私をじっと見ているのだ。まるで「さぁリーダーさん、やり方を見せてちょうだい?」と品定めする視線に思えて、かえってプレッシャーが増す。

「えーと……今日は曲決めの話と、練習方針について話し合いたいと思います。あとは衣装とかステージ演出も、ざっくり方向性をね……」

 自分で言いながら、どこかぎこちない。コーヒーのシミで汚れたメモを見ながら、私は何とか話を進めようとする。

曲選びのドタバタ

最初の議題は「メインで使う曲をどうするか」。文化祭ステージは15分ほど踊れる時間があるらしく、1曲だと少し物足りない。かといって複数曲をつなぐメドレー形式にするとなれば、振り付けや構成が複雑になる。

「私は、メドレーでやりたい! 断然そっちのほうが盛り上がるよ!」

 一番に声を上げたのは真琴。彼女はノリと勢いが持ち味で、大学のサークルとは思えないほど身体能力も高い。今日もスポーティーなジャージ姿で、会議中なのに足を組み替えながら落ち着きがない。

「まあ、確かにメドレーだと見てる人も飽きないし、いろいろなジャンルが詰め込めるのは魅力だよな」

 翔もいつになく真面目な顔でうなずく。もっとも、翔の場合は「派手な仕掛けで盛り上げたい!」という内心が強いだけかもしれない。

「でも、15分ってあっという間だし……下手にメドレーにすると時間配分を間違えやすいんじゃないの?」

 それに対し、クールに異を唱えたのはシズクだ。静かに背筋を伸ばして座っている彼女は、黒髪を肩上でひとつにまとめ、端正な顔立ちがどこか気品を漂わせている。ダンスの腕前はピカイチで、特に振りの精度が高い。

「たとえば曲が転換するたびにフォーメーションも変えないといけないし、振り付けもそれぞれ必要になる。練習時間だって倍増するはず」
「まぁ、だけど……観客にウケるほうがいいっしょ?」
「ウケるために必要なのは、単に派手さだけじゃないと思うけど」
 いつものように、シズクの冷静な主張と真琴・翔の“盛り上げ重視”との温度差が露わになってきた。

 一方、真由はというと、そわそわしながらファッション雑誌の切り抜きを膝の上でパラパラめくっていた。
「これ見て、すっごく可愛くない? この衣装に合うような曲だったら絶対映えると思うんだけど!」
「衣装先行で曲を決めるの……?」と私は思わず口にする。
「だって、やっぱり女子としては可愛い衣装で踊りたいじゃない。ポップな曲なら明るい色が映えるし、ちょっとクールな曲ならモノクロ系とか?」
 真由は髪先をくるくる指に巻きつけながら、楽しそうに語り出す。ダンスのことになると、いつも派手なアイディアを出してくれるのが真由の持ち味だ。

 こうなると、議論は止まらない。
「衣装なんか後からでいいだろ!」と真琴が声を荒らげ、シズクが「曲と衣装のイメージが合ってないと台無しだし……」とこぼす。翔は「コレとコレ、両方入れちゃえば?」と無責任なことを言い出し、真由は「それ絶対ダサいよ!」と反論。
 私の手元のメモには、次々と飛び出すキーワードが乱雑に書き込まれていく。
「メドレー」「曲数は3~4曲?」「ポップ&クール両立?」「衣装:可愛い系? 黒ベース?」
 どうまとめたらいいのか……頭がグラグラする。

小春、ファシリテーションに挑む

 混乱がピークに達しかけたところで、私は思いきって声を上げる。

「と、とりあえず、曲を先に決めませんか? みんなが踊りたい曲をリストアップして、それをもとに方向性を絞るほうが早いと思うんですけど……」
 言葉尻が弱いことは自覚している。でも、これ以上好き勝手に話が逸れるのは困る。ここはリーダーとしてなんとか仕切らないと……!

 すると真琴が「おー、いいね。アタシのイチ推し曲は――」と、すぐにアーティスト名と曲名を挙げてくる。派手な打ち込みサウンドで、体育館で流せばノリノリになりそうだ。対してシズクは、最新の洋楽ダンスチューンをピックアップ。真由はK-POPのアイドル曲を強く推し、「衣装が絶対に映える!」と力説。翔は「俺、レトロなディスコみたいなのも面白いと思うんだけど」と妙に古い路線を出してきて、みんなの意表を突く。

 結果、5~6曲の候補がズラッと並んだ。
「このうち何曲かをメドレーにするのか? それとも1~2曲でまとめるのか? それが問題だな」
 翔が呟くと、シズクが「全曲は無理よ。時間も限られているし、練習も大変になるわ」とクールに応じる。真琴は「全部入れたら面白そうじゃん!」と真っ向から反対。
「だから、その『面白そう』だけで走ると絶対パンクするってば。私たち、サークルの他のメンバーとも練習揃えないといけないんだよ?」
「パンクするかどうかはやってみないと分からないっしょ!」
「やる前から無謀なこと言わないでよ……」

 ああ、また始まった……。真琴とシズクの意見対立はこのサークル内でも有名なのだ。根本的なダンス観が違うというか、真琴は「情熱先行・まずやってみろ!」派、シズクは「計画的かつ洗練されたものを!」派。

 私はオロオロしながら、どうにか二人を落ち着かせようとする。
「えっと……メドレーにするにしても、曲の数は2~3曲がいいんじゃないかな……? 欲張りすぎると確かに大変だし……」
 そう言いかけると、真琴が「3曲でも地味だと思うけどなー」とまだ食い下がる。シズクは「3曲すら多いと思うけど」と首を振る。うわぁ、両極端……!

 すると、後ろで黙っていたリカ先輩が口を挟んだ。
「まぁまぁ、みんな。意見があるのはいいことだよ。最初は選択肢を広げてみて、そこから削るかどうか検討すればいいんじゃない?」
 先輩がやんわり諭すと、真琴とシズクも「まぁ……」といった表情で一旦口をつぐむ。私はホッと胸を撫で下ろす。

「リーダーである小春が、曲候補をまとめておいて。後で試聴会でもやったら? 実際に音を聴きながらここは合いそうとか、無理そうとか判断できるでしょ」
「いいですね、それ。みんなで曲を聴いてから決めるほうが、イメージもしやすいし」
 私がそう応じると、メンバーもなんとなく納得したようだ。よしよし。とりあえずこれで曲決めは“仮保留”。次の議題へ進まなきゃ。

練習メニューの混乱

 次は「練習方針について」。曲が確定していないので詳細は詰められないが、基礎練習やフォーメーションなど、どんなスケジュール感でやるかをみんなで話し合う必要がある。

「練習は週3回くらい? 文化祭まであと2か月半しかないし、ある程度ガッツリやっとかないと」

 真琴はやる気満々だ。声も相変わらずデカい。

「そうですね。でも、他の人の都合もあるから、とりあえず全体練習は週2回。あとは自主練時間を確保する形にしたらどうでしょう?」

 私は簡単な案を提示するが、すかさずシズクが指摘する。

「でも週2回じゃ、メドレーにすると仮定した場合、練習時間が足りないと思う。特にフォーメーション練習が追いつかないわ」
「それはそれで……ううん。じゃあ週3回、うち1回はがっつりフォーメーション練習をする日にしようか……?」

 その案に対して、今度は翔が「でもバイトがあるんだよなー。週3は厳しいかも」とぼやく。
「はぁ? 文化祭のステージなんだから優先しろよ!」と真琴がキレぎみになりかけたところで、私は慌てて止める。
「バ、バイトも大事だよ真琴……。翔だけじゃなくて他のメンバーもいろいろあるし……」
「ま、まぁそうだけどさ……」

 予定の合わない人同士をなんとか調整するのは、まさにリーダーの仕事。正直、めちゃくちゃ骨が折れる。私の頭の中には、すでに全員分のスケジュール表がぐるぐる回転している。
「えっと……この辺の細かいところはLINEグループで日程調整しましょう。今日の会議で全部決めようとすると、時間がいくらあっても足りないんで……」
 そう言ってお茶を濁すしかない。でも、何もしないよりはマシだ。

 さらに練習メニューの中身についても話が飛び交う。
「基礎練習はしっかりやりたい。ステップの精度を上げるには欠かせない」
 シズクが真顔で主張するのに対し、真琴は「いや、そんなの踊りながら体で覚えりゃいいんだよ!」とあくまで勢い推し。
「毎度同じことで口論になるなよ……」と翔は半ば呆れ顔。真由は真由で「振り付けを考える時間がもっと欲しい!」と別方向から割り込んでくる。

 私はなんとか議論を整理し、最終的には「全体練習の半分を基礎練習、残り半分を振り付けやフォーメーションに割り当てる」と仮決定した。もちろん、まだまだ各メンバーが納得できているわけではない。でも、今日のところはこれで落としどころとしよう。

何とか決着…? そして次なる一手

曲の方向性は“2~3曲のメドレー候補”、練習スタンスは“全体練習週2~3回+自主練の時間確保”という、ざっくりした合意ができた。正直、これでスムーズに進むかどうかはわからない。でも、前回の会議でほとんど何も決まらなかったことを考えれば、大きな一歩といえる……はず。

 会議が終わると、翔がパッと立ち上がり、「腹減ったから学食行くやつー?」と呼びかける。真琴が「あ、アタシも行く!」と乗っかり、真由が「じゃあ一緒に行こうかな」と続く。シズクは「私は用事があるからまた後で」と言って席を立ち、そそくさと部屋を出て行った。やっぱり集団行動が苦手なのかな……。

 机の上には、私が必死に書き込んだメモが山積みのまま。はぁ、とため息まじりにそれらをまとめていると、リカ先輩がやってきて、ポンと私の背中を軽く叩いた。
「小春、おつかれ。よくまとめたね。みんな頑固だから大変だったでしょ?」
「はい……正直、疲れました……でも、少しだけ達成感があります」
 私が苦笑いすると、リカ先輩も笑顔でうなずいてくれる。
「そうそう、最初はこんな感じでいいんだよ。リーダーが全部決めるわけじゃない。むしろ、みんなの意見を聞いて、方向性を微調整するのが仕事だからね」
「ありがとうございます……」
「ちなみに次は、具体的に曲を聴きながらどれを採用するか決めないといけないよね。あと、衣装とかの話も続きがあるでしょ? まあ、がんばって」
 先輩はそう言って爽やかな笑みを浮かべると、パソコンを閉じて退出していった。

 部屋には私ひとり。静まり返った空間に、議事録用のメモとペンの音だけが響く。自分がリーダーとして担うべき責任を噛みしめながら、私はゆっくり椅子に腰を下ろした。
「まだ始まったばかり、か……」
 前回は意見がバラバラすぎて愕然としたけれど、今回は少なくとも“やること”が少し見えてきた。仲間たちと協力して、最高のステージを作るんだという意志が自分の中で強く芽生えているのを感じる。
 もちろん、真琴とシズクの意見対立はまだまだ続きそうだし、翔もバイトと練習の両立でバタバタしそう。真由の衣装・振り付け欲も爆発寸前だ。でも、なんとか私がまとめていかないと。

小春の新たな挑戦

翌朝。私は目を覚ますと、まずは携帯を取り出し、前日にノートに書いた“やるべきことリスト”をデジタル化してメモアプリにまとめた。
「曲候補の音源を用意して試聴会」「練習場所・日程の再確認」「衣装案の優先度整理」「メンバーの得意分野リストアップ」……等々。

 一つひとつの作業は小さいけれど、これだけ重なると結構な量になる。ふぅ、と小さく息をついたあと、「まぁ、私にできる範囲でがんばろう」と自分に言い聞かせる。

 ちょうど自宅のテレビでは情報番組が流れていて、街角インタビューで「あなたが今、挑戦したいことは何ですか?」という質問をしていた。誰かが「海外旅行!」と言ったり、「転職活動です!」と言ったり、みんなそれぞれの想いを口にしている。
「私の場合は、リーダー挑戦中、か……」
 テレビに合わせるように小声で呟くと、なんだかちょっと誇らしい気持ちになった。まだ先は長いし、上手くいく保証はない。それでも、仲間と一緒に舞台を成功させるために、私は進まなくちゃいけない。

에필로그

こうして、二度目のミーティングを乗り越えた私たち。リーダー桜井小春としての本格的な活動が、少しずつ形になろうとしている。
 だけど、メドレーの曲数問題や練習スケジュールのすり合わせ、個性派メンバー同士のぶつかり合い……難問は山積み。文化祭まであと2か月半、この先どんなドタバタが待っているのか想像もつかない。
 それでも私には、リカ先輩の優しい後押しと、仲間たちが心のどこかで持っている「ダンス愛」が力強い味方に思えた。
「まずは曲を決める……それから、練習、練習、練習……」
 決意を新たに、私は今日も大学へ向かう。踊るための場所があり、共に踊る仲間がいる――それだけで胸が高鳴るのだから、やっぱりこのサークルは大好きだ。

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